消費者対応の在り方[食品と科学]

消費者対応の在り方[食品と科学]

一般社団法人 食品品質プロフェッショナルズ会員の江川永が執筆した記事が、食品と科学 2021年10月号に掲載されました。月刊 食品と科学様の許可を得て、公開しております。

本文紹介

消費者対応のあり方 ~品質に対するクレーム対策~

江川 永
Egawa Hisashi
(食品品質プロフェッショナルズ会員)

はじめに

品質部門がどんなに穴がないように仕組みを作っても、製造部門が細心の注意を払ってどんなにがんばって製造してもクレームは発生します。しかしクレームが来なければ、企業はミスがあったことに気づくことができません。消費者や得意先から教えてもらって初めて気づくものです。クレームは改善の機会をいただけるありがたいお声であることは間違いありません。

企業がコンタクトできるお客様とは

商品の不具合で販売店やメーカーに連絡をくださるお客様は100%ではありません。そもそも気づかない方もいらっしゃいますし、気づいたものの所詮こんなものかと思われる方、(例えば100円程度の商品で)連絡するほうが面倒だから捨ててしまって新たに買いなおす方、もう二度と買わないから連絡なんかしてやるもんかとお怒りになる方、匿名でSNSに晒してそれで満足だと思われる方、そして連絡をくださる方など様々なパターンが考えられます。数ある選択肢の中から「企業に連絡しよう」を選んだお客様としか企業はコンタクトをとることができません。

お申し出くださるのは1/500?

10年以上前のことですが、毎月1回くらいしか作らない商品で、「商品の味がなんだかおかしい」とフリーダイヤルにお申し出がありました。着払いで送っていただき、お申し出品の味を確認しました。複数人で確認しましたが、正常品と比較するまでもなく明らかに変な味です。砂糖の入れ忘れでした。

工場では半バッチで作っても500パックは出来てしまいます。でもお申し出くださったのはこの消費者お一人だけでした。それなりの数が消費者の口に入っているはずです。お申し出品が届いた時点で賞味期限は切れていたのですが、他のお客様からのお申し出はありませんでした。

また、中国毒餃子事件があった2008年は、お申し出件数が2007年の約2倍になりました。普段連絡くださらないお客様からもお申し出いただいたのだと思われます。

私はこれらの経験から、異常があったとわざわざご連絡をくださるのはごく一部の方しかいらっしゃらないのだと知りました。

商品の形態によっても変わるかも?

例えば異物の場合は、商品の包装形態、用途などによって変わりそうです。私が勤めていた食品会社は魚肉練り製品を作っていました。透明フィルムに包装され、開封後に調理の必要が無く、主に自宅消費用で、スーパーマーケットやコンビニに納める商品です。

透明フィルムに包まれているので開封前に気づくことができます。未開封の状態であればウソをついていると疑われる心配がなく、メーカーの責任であることは明らかです。練り製品なので白いと言う点も、不具合に気づいていただきやすいポイントだったかも知れません。

開けてすぐに食べられるので「開封後に混入したのかも?」と消費者自身を疑う部分が減ります。開封後に消費者自身で調理する工程が入る食品よりはご連絡いただけるハードルが低かったのではないかと思います。

値引きシール

不思議だったのですが、お申し出をいただいて返ってくる商品でそこそこの割合を占めていたものがあります。それは値引きシールが貼られた商品。一生懸命剥がした跡が残っているものもありました。値引き前にお買い求めくださる方と、値引き後にお買い上げくださる方では、連絡してあげようと行動に移される率が異なるようです。値引きされているのはメーカーとしてはちょっと悲しいことですが、連絡くださる率が高いお客様の手元に行くのはありがたいことでもあります。と言っても、値引きも不具合もないのが一番良いことです。

プレゼントされた食品だったら・・・

自分で使うために自分で買った食品に不具合があった場合ではなく、人からもらったお土産品などで不具合に気づいたらどうでしょうか? 「私がクレームを付けたことをもらった人に知られたら・・・」と思うと、お土産品メーカーに連絡を入れるのは心理的にハードルが高くなるはずです。

数年前に土産菓子メーカーの面接を受けたことがあります。主に自社で展開している店舗で販売されているメーカーでした。「こちらの工場ではどのようなクレーム削減が課題ですか?」と質問した所、「うちはクレームなんてありません」と返され、今日はここまでと予定より30分早く面接が打ち切りになりました。その後、転職エージェントから「上から目線で我が社には合わないため採用は見送る」と連絡が来ました。

その企業では、お客様が自宅に着いて紙袋の中を確認すると、お金を払った数より少なかったときの消費者対応事例が紹介されていました。お客様からの電話を受け、自社店舗担当者は次の飛行機ですぐに不足分の商品を持って自宅まで届けに行ったそうです。改善に前向きな企業と思い質問してみたのですが、流通さんに納めているメーカーと自社店舗で売っているメーカーの違いや、包装形態、用途の違いも関係していて、企業によって取り組むべき課題の優先順位の付け方が変わるのだろうと思った出来事でした。

お申し出はめんどくさいと思う部分もあるのですが、メーカーにとっては気づいていない部分の改善のチャンスをいただいているわけです。消費者のみなさまがわざわざ連絡してくださるというのは、誠に尊く、ありがたい行為だと感じました。

企業に連絡をするハードル

消費者側もそうそう商品の不具合に遭遇する機会はありません。初めての遭遇である方も多いはずです。いざ連絡を入れようと思っても「金品目的と思われないだろうか」など気をもみつつ、「こんな不具合があって」と企業に連絡を入れてくださることが多いと言われています。

しかし連絡を受ける企業側の担当者にしてみれば、慣れたものです。数あるお申し出の一つですから「あ~ あのパターンの不具合ですね」と不具合の原因とこのあとの対応パターンを頭の中で組み立てつつ話を聞いています。

たとえば「あの工程でやらかしたのかもしれないな」とか、「お客様がこんな使い方してしまったんじゃ?」とか、「原料由来のものを異物と勘違いされているのかも?」と言ったことが思い浮かんで来てしまいます。ついつい「原因が分かれば納得されるだろう。そんなに気になさらなくても良いのに。」と思ってしまうものです。しかしこれがお客様に伝わってしまうとこじれてしまいます。

消費者に直接対応する者は、この点を忘れないようにしなければならないと口を酸っぱくして言われました。にもかかわらず私の場合は失敗を繰り返してしまいました。

私もやらかしてしまいました

大手の食品会社ではなかったので品質保証部がお客様相談室を兼ねていました。私も配属された当初は、ベテランさんが対応されている実際の電話対応録音を聞いてイメージトレーニングしていました。ある日から「後は実践で慣れるしかない」と言われ、実際にお客様からの電話をとることとなりました。お客様にとっては相手がベテランであろうが私のような新人であろうが関係ありません。ちゃんとした対応を求められます。

最初はたどたどしく、ベテランさんのようなスムーズな対応にははるかに及びません。しかし緊張しているので、つまらないミスはしないですんでいました。製造も営業もそうですが、消費者対応も慣れてきた頃が危険です。ある日、私の電話対応でお客様を怒らせてしまいました。

それは「レトルトおでんの中の具材が1個足りない」というお申し出でした。ちょうどその商品を作っている製造委託先工場に行った後でしたので「その商品は~」と製造工程を説明してしまいました。すると「あんたなぁ、『すみませんでした』も言われへんのんか。『人が1パックずつ入れているんで、たまたま入れ忘れたものがあったのかもしれません。申し訳ありませんでした。』くらい言われんのか!」ときつい口調でお叱りを受けました。

本来であれば、現品とパッケージをこちらに送っていただくなどしてロットなどを確認してから製造工程やその原因の説明をすべきところです。しかしお客様になんとか知ってもらおうと気持ちが先走った結果、お客様を怒らせてしまいました。初歩的な心構えも出来ていないから起きた私のミスでした。

東西の違い

配属数ヶ月目でこのような失敗をし、心に深く反省を刻み込んだはずでした。しかしその後、数年経ってまたやらかしてしまいます。お正月の蒲鉾をお買い求めいただいた関東在住のお客様から「蒲鉾が硬かった」とフリーダイヤルに電話がかかってきました。

現品はすでに消費されているので、現品の確認はできません。大量生産品ですのでこのお客様の1個だけがかたすぎるというのも考えにくく、何だろうと思いつつお申し出を聞いておりました。

板付きの蒲鉾と言っても大きく分けて3種類のものがあります。

  1. 蒸し蒲鉾(蒸し焼き蒲鉾)
    • かまぼこ板にすり身を載せ、蒸しあげる。その後、表面を炙って焼き目を付けるものもある。
  2. 焼抜き蒲鉾
    • かまぼこ板にすり身を載せ、焼きあげる。表面の水分が蒸発してちりめんじわが出来るのが特徴。西日本で多く見られる製法。焼くより蒸した方が時間当たりの生産量は上がるので、今は蒲鉾表面にセロハンを貼ることでちりめんじわができるようにし、蒸して作ることも多い。
  3. リテーナー蒲鉾
    • かまぼこ板にすり身を載せ、フィルムで全面を覆う。時間をおいてから加熱する。フィルムで覆うので蒸し蒲鉾より多く水を入れて作ることもある。

西日本がメインの販売先でしたので、焼抜き蒲鉾のようなやや固めの食感の蒸し蒲鉾や蒸し焼き蒲鉾を作っていました。また、お正月用の蒲鉾は魚肉の配合量が多く、大豆タンパクなども添加していない(つまり水でかさ増ししていない)ちょっとお高めの配合になっています。なので全般的に少し硬めなのです。

まずは東と西の蒲鉾の製法の違いからお伝えしようとしたところ、「西日本の方が硬いなんて聞いたことない! あんたのところのなんて買うんじゃなかった。こんなのなら100円の●●(←リテーナー蒲鉾の有名メーカー)を買えば良かった。」と怒って切られてしまいました。そしてその方のものと思われるブログで「メーカーに電話したら西日本の蒲鉾は硬いと言われた。そんな話聞いたことがない。」と言ったことが書かれていました。

この時も説明をしてわかってもらおうとして失敗した事例です。無理に説明せず、「それは申し訳ございませんでした。せっかくのお正月を・・・」とねぎらい、食感に衝撃を受けたことに共感していれば、このお客様もファンになってくださっていたかも知れません。

現品主義

連絡をいただき、現品が残っているのであれば現品を確認する必要があります。例えば「針金が入っていた」とのお申し出があり、「針金が入っていたんですね。申し訳ございません。工場内で使っている針金は~」とまだ確認していないのに断定するのは良くありません。まだ現品を確認していない段階では「針金のようなものが入っていたとのことで大変ご心配をおかけしました。お怪我などされていませんか?」と断定せずにお客様の言葉を肯定し、まずは現在の体調をうかがうことがポイントとなります。

この場合、実際現品を確認してみると、針金ではなく洗浄ブラシの樹脂製の毛だったりもします。しかし現品確認前に針金と認めた形になっていると、後々トラブルの原因になることもありますので注意が必要です。

手元に商品やパッケージが残っているのであれば引き取りにうかがいます。基本は訪問回収がベストですが、直接訪問を希望されないお客様もいらっしゃいます。また、遠方であったり、近くに営業所などの拠点もなかったり、すぐにおうかがいすることが出来ない場合もあるでしょう。

私が勤めていた会社ではお申し出をいただくと切手を貼った封筒をお送りして返送してもらっていました。しかし返送していただいても、気温が高い時期はこちらに届いた時には腐敗していることが多く、また郵便の往復で時間がかかり困っていました。

宅配便の利用

流通さんの消費者対応勉強会で化粧品会社の事例を聞く機会がありました。その化粧品会社では訪問はせず、宅配便で現品回収を行うのがルールになっていると紹介されていました。このお話を聞いて、会社が契約している宅配便業者に問い合わせたところ「パソコンとかも修理センターから連絡もらって、お客様のところに引き取りに行って着払いで送っていますし、できますよ。」と言われました。世の中の宅配便はそういうものなのかと知り、宅配便業者に引き取りに行ってもらうように変更しました。

お客様からのお申し出があったら所定の書式に引取先を記入、宅配便のセンターにFAXします。宅配便業者がお客様から現品を引き取り、宅配便業者が販売している袋や箱に入れて、チルドや冷凍でこちらに届きます。

お客様には「お手数かけますがビニール袋に入れて、そのまま宅配便業者にお渡しください」とお願いし、引き取りにお伺いしてもかまわない時間帯をうかがっておきます。袋(箱)代も運賃もこちらに請求され、伝票の記入も宅配便業者で用意してもらえます。

このおかげで腐敗することもなく、今までより1日以上早く現品を確認できるようになりました。

現品を確認したら

現品が届いたらまずは確認です。長さを測ったり、顕微鏡で拡大して写真を撮ったり、少し炙って臭いを嗅いでみたり、残りの商品にも異常が無いか細かく切って調べたり、お申し出内容に合わせて確認します。それから製造ラインに出向き、責任者とやりとりして改善案を取りまとめます。

その上でお客様に電話で報告します。ここで原因がつかめなかったりする場合は、「お送りいただいたものが本日こちらに到着し、確認いたしました。製造工程を調査したのですが、同様のものを見つけることが出来ませんでした。検査に出してもう少し詳しくお調べしたいのでお時間いただけませんでしょうか。○日後あたりにまた連絡させていただいてよろしいですか。」とお伺いを立てます。

材質検査をしたり、微生物検査をしても原因がつかめないことが多いのも事実です。この場合は「お調べしたのですが、あいにく現時点では原因が特定できませんでした。」とお伝えするしかありません。いずれの場合も、電話で報告後に再発防止策をしたため、商品代金分をカバーできるクオカードを添えて郵送していました。

すっきり解決できないことも

このように現品を確認して、工程を調査して、回答するのですが、結局「調べても分からなかった」と言わざるを得ないときもあります。異物なら似たような色のもの、同じ材質のものを探すのですが、見当たらないこともあります。と思っていたら数年後に「あれ? ここの欠けってもしかしてあのときの?」とふと見つかることもあります。

お客様としては「せっかく企業のことを思って連絡して上げたのに」という思いなのでしょう。大変ありがたいことです。しかし私のようなものではその尊い思いに応えることが出来ず、申し訳なく思っていました。

歯の詰め物

私とは別の担当者は、お客様のお家の玄関先で現品をお預かりした時に「歯の詰め物のように見えますね」と言ってしまいました。するとお客様は「私の歯の詰め物が入ったと疑うのか!」とお怒りになり、保健所に持ち込まれました。この件は解決までかなり時間がかかってしまいました。その場で判断せず「持ち帰って調べますので、少しお時間いただけませんでしょうか」と答えるのがベストだとこの事例から私を含め同僚も学習しました。

この件以外でも、歯の詰め物はちょくちょくお申し出をいただきました。現品をお預かりして外部検査で材質を調べてみても、お申し出の異物は歯の詰め物で間違いなさそうです。念のため会社の近くの歯医者さんで見てもらっても「歯の詰め物のようだね」と言われます。最近は樹脂製も増えてきましたが、金属のものは金属検出器を通過させてみると間違いなく検知・排除します。

製造当日のライン担当者を記録から追い、各担当者の口の中に異常が無かったかを確認した上でお客様には「この度は●●の中から異物が出てきたと言うことで、ご不快な思いをさせてしまいまして申し訳ございませんでした。製造工程を調査したのですが、あいにく混入した原因は特定できませんでした。」と回答するしかありません。お申し出のお客様は自分のものとは思っていらっしゃらないので、いったいどこから入ったのでしょう? 毎回すっきりしないまま終わるお申し出です。

お箸の先

お箸の先が折れたものが混入しているというお申し出です。歯の詰め物ほどの頻度ではありませんがお申し出があります。なぜお箸の先だと分かるのかと言うと、滑り止めの溝が入っているからです。毎回この滑り止めが入っているお箸の先でした。

工場内ではお箸は使っていません。すり身は高速回転する機械で練り上げ、直径数mmのストレーナーを通していますので、この形状で製品に入ってしまう工程は限定されます。キャベツやタマネギなどの野菜にくっついて工場に入ってきたのかと疑ってみますが、これらの野菜はカットマシーンを通します。お預かりしたお箸の先には傷が見当たらないので、野菜由来とも違うように思います。

結局毎回「調べたけど分かりませんでした」とお伝えすることになりました。受話器の向こうから「ちゃんと調べたのか! この商品に入っていたのは間違いないんだぞ! 他にも出ているんじゃないのか!」とお怒りになるのもごもっともです。私も「ここが原因でした。再発防止策はこれです!」とお伝えしたいのはやまやまなのです。「どこかでお箸の先がお申し出品に入った」のは間違いないはずなのですが、原因が本当に分かりませんでした。

その他にもソクパス(靴下を留めている金具)、タグピン(服などに値札を付けるための樹脂製品)が混入していたお申し出もすっきり解決することはありませんでした。

ニオイ

「商品から変なニオイがする」というお申し出も、原因物質を検査で特定することが難しいので頭を悩ますことになります。官能検査をすると敏感な人は感じるようですが、結局は「原因が特定できませんでした」のパターンです。

ただ強烈に臭う場合もありました。蒲鉾板が水を吸ってヤニ臭や生乾き臭を発することがあります。窪地に生えている木の下の方を使うとニオイが出やすいようですが、板だけの状態では分かりません。すり身を載せて加熱してから蒲鉾板が水を吸って初めてニオイが出てきます。原因は分かっているものの製造工程の検品では防ぐことができません。

お客様は驚いて連絡をくださるので、現品を確認した上で説明申し上げるのですが、検査証明書もないのでいまいち信用してもらえないようです。「そんなことあるかい! 今からすぐに返しに来い! こっちで調べる! お前のところなんかに任してられへん!」と怒られてお宅まで返却にうかがったこともあります。なんとも後味が悪い結末でした。ここまでではなくても、ニオイ関係のお申し出はすっきり解決した記憶がありません。

社内での情報共有

お問い合わせもお申し出も社内の電子掲示板にその都度アップしていました。たまにトップがコメントを書き込むこともありました。

私がお問い合わせとお申し出の月末集計業務を引き継いだときのことです。以前は全てが社内掲示板にアップされていませんでした。おそらくファーストコンタクトの不確かな情報ではなく、対応が完了してから上げようと思っていたものの、アップのタイミングを見逃して放置になっていのでしょう。「上がってないから書き込んでおかなければ!」と月末の集計時に書き込んでいったところ、役員から「今日一日でこれだけクレームが来たように見えるじゃないか! 紛らわしいことをするんじゃない。」とひどく怒られてしまいました。

製造部門との情報共有も必要です。フリーダイヤルでお問い合わせやお申し出を受けると、専用の書式を起票します。お得意様経由で営業部門が受けるお申し出も、同じ書式を使っていました。お申し出者の住所、氏名、電話番号など個人情報記入欄と製造の対策記入欄を1枚の用紙に設けておりました。

しかし「別部門にお客様の個人情報が見えるのは良くない」となり、書式を変更することになりました。お申し出の書式とは別の書式に対策記入欄を別に作りました。書式の記入欄を個人情報が隠れるような配置にして、対策記入欄をかぶせてコピーをしたものを製造部門に回すようにしました。クリアホルダーに対策所記入欄を両面テープで貼り、コピー機の横に置いていました。アナログの極みでしたね。

元々は個人情報丸見えの書式をコピーして製造部門に渡し、対策を書いてもらっていました。

工場の対策記入欄を別用紙にしました。

別用紙にした対策記入欄を元の書式にかぶせてコピーを取り、製造部門に回すようにしました。

元々の消費者対応レベル

元々このような仕組みが出来ていたわけではありません。過去の資料を見ると、言うがままの金額を払ってしまったり、よろしくない対応をしていた事もあるようです。世間一般の企業がどのレベルでやっているのか、どこまでやれば良くやっているねと見られるのか、自社の対応だけを見ていても答えは出ません。かと言って担当者任せの自己流でやっていても組織全体の消費者対応レベルがアップしにくいのも事実です。何もない状態でずいぶん悩んだと、それまで消費者対応してきた人から聞きました。上のものも含め、消費者対応を誰も分かっていない状況でしたので、仕組み作りに産みの苦しみを味わってきたのだと思います。

消費者対応の団体(ACAPOM研究会など)で情報を入手し、ようやく手探りの対応から脱皮し、組織として対応できるようになってきたところで私は配属となったわけです。

おわりに

店舗を持っていないメーカーであれば、お客様相談室はお客様の生の声に接することができる一番消費者の生の声に近い部門かも知れません。お客様の生の声は、企業が気づかない点にも気づかせていただける貴重なものです。

お申し出への対応を通じて企業のファンになってもらうことが理想です。そこまで行かなくとも「ここの企業には連絡して上げて良かったな」と思っていただけるようにしたいところです。

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