HACCP責任者研修の風景

HACCP責任者研修の風景

(一社)食品品質プロフェッショナルズ 代表理事 広田鉄磨

2020年二回目の 関西大学梅田キャンパスでの HACCP責任者研修。10月13日~15日に実施した。思えば 食品品質プロフェッショナルズの研修提供は 2016年にこの701教室で始まったという記念すべき場所なんだな。

1日目

カリキュラム

  • 09:30~12:30 HACCP概論、一般衛生管理概論
  • 12:30~13:30 休憩
  • 13:30~15:30 環境衛生・ペストコントロール、製品仕様書・フローダイアグラム、危害要因分析、物理・化学的危害要因(アレルゲン含む)
  • 15:30~15:50 休憩
  • 15:50~19:00 生物学的危害要因、HACCPプランの作成、農場HACCPの紹介

研修風景

初日は24名。このコロナ禍の中での集客としては好成績。

初日は一人で何とかこなした・・・今回は 受講の方々の水準が非常に高い(ので 帰ってからどっと「うれしい」疲れに襲われる)。通常であれば 今回初めてHACCPを習いに来たという人が多いのだが 今回は 質問がすでに 自分の事業所にもどったらどうすべきか? という具体的なものが多い。自分の持ち場に戻ってからのHACCP実践のための即効性のあるヒントを得たいという意識がひしひしと伝わる。目の輝きがちがうなあ。

質問も現実的で 時々 その事業所の中に実際に入ってコンサルやっているような気分にまでなってくる。今回は主題ではないのだけれど 熱殺菌の質問も頻出して いつのまにやら HACCP教えているのだか 熱殺菌工学教えているのだか わからなくなってくるような場面もでてきた。

換気のため窓を開けると 自動車の騒音が入ってくるのが この教室の悩みであることを 改めて発見する・・・コロナ対策で窓を開けていると そこが 騒音の侵入口となる。しかし(私自身が強調しているように) コロナ対策では 換気に勝るものはないので むりに開け続ける。

騒音に負けまいとマイクを使用 そのためマイクの電池切れ続出。2時間程度でマイクのバッテリーが上がってしまう。マイクが切れたら 地声で 大声で講釈する羽目に。おかげで 初日夕方からすでに声がかすれる。コロナのおかげで この比較的おおきな教室には 窓を開けると騒音が入ってくるという弱点があることを身に染みて理解した。

2日目

カリキュラム

  • 09:00~12:30 実践的生物学的危害要因分析、HACCPプラン先行事例、動画視聴
  • 12:30~13:30 休憩
  • 13:30~15:30 付与条件の想定
  • 15:30~15:50 休憩
  • 15:50~19:00 HACCPプラン作成

研修風景

二日目からは 人数が多いコースの時の追加講師(助っ人役) Iさんに来てもらって二人体制。 Iさんは 私どもの研修の初期のころの卒業生。ビジュアライゼーションの徹底や 管理手段の有効性をしつこく問いかける私どもの研修体系 と 自社の上意下達、ルールと決まったら何でも墨守の気風とのギャップにしばしば悩みこんでいたけれど 悩めば悩んだほど 受講者の苦労が理解できるのだろう めきめき講師としての筋の良さを見せはじめ、今では 広田道場の四天王か師範代と呼ばれるほどのつわものになった(ちなみに女性です)。

よかった あらかじめ二人講師体制で計画しておいて。やはり 今回も ビジュアライゼーションの徹底と管理手段の有効性確保で悩みがちな人が数名。そこは Iさんがじっくりと付き合って指導してくれる。こういう役を専属でやってくれる人がいるととても助かる。

演習部分がほぼ二日間を占める難関研修。しかし この演習部分を通じて ともに真理を極めようとしている仲間としての一体感が生まれてくることを感じる。二日目の終了時 へとへとになりながらも 後一日だから 頑張ってくれよと全員にエールを送る。頑張らないといけないのは自分自身なのに。

3日目

カリキュラム

モデルケースとして、各自が想定する「豆腐製造業」についてのHACCPプランを作成、発表を行い、その内容について講師の評価を受けます。

研修風景

おかげ様で 三日目には 受講者が ほかの受講者に教えるという 理想的な場面にまで持ち込めた。特に同じ事業所から来ている方々については 誰が誰を教えようととてもいい成果が上がる。先輩が後輩を教えたら先輩の面目躍如、後輩が先輩を教えたら 先輩の心の中では(日頃どんなに悪態をついていても)「ほう!こいつ 若いのにやるなあ!」と今まで発見できなかった後輩の優れたところを目の当たりにすることになる。

HACCPチームとは HACCPのチームアプローチを表現する用語だけど こんな研修の場でも チームとしての成果を上げていくというのは HACCPの理想形。

自分がたったいま学んだことを 自分の頭の中で整理して 相手にわかる言葉に置き換えてほかの人に教えるというのは 理解の深化には最高のパターンといえる。講師側も楽なんだよな~~こうやってもらえると。

それぞれの方々は やはり所属する事業所特有の問題を抱えている。それは 講師のような部外者には なかなか見通せないところ。それを 現場を知る面々が手と手をつないで 帰ったらいかにHACCPを構築していこうか という具体的な目標のもとに 共同作業していくんだから これほど実効性の高い方式はない。

研修の初期のころは 受講者を講師として使うことにためらいがあったけど 一事業所から複数名来ている場合に一度試してみたところ これがすごい成果。それ以来 常用しているけど 一回も期待が裏切られたことがない。


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