(一社)Food Communication Compass 代表 森田 満樹 氏
2018年6月13日に「食品衛生法等の一部を改正する法律」が公布されました。主にHACCPPの制度化が注目されていますが、今回は15年ぶりの改正とあって食を取り巻く環境の変化や国際化などに対応して様々な観点で見直しが行われています。
改正ポイントは以下の7つですが、これらは互いに関わる部分もあり、食の安全規制の強化につながっています。
1. 広域におよぶ “食中毒”への対策を強化
2. 原則全ての事業者に“HACCPに沿った衛生管理”を制度化
3. “営業届出制度”の創設と“営業許可制度”の見直し
4. 食品の“リコール情報”は行政への報告を義務化
5. “輸出入”食品の安全証明の充実
6. 特定の食品による“健康被害情報の届出”を義務化
7. “食品用器具・容器包装”にポジティブリスト制度導入
2018年下旬からは各項目において具体的な内容を詰めるべく、一部は検討会等の場で法改正に基づく政省令案が検討されてきました。そして、2018年末には「政省令案の検討状況に関する説明会」も全国で開催され、具体的な内容が明らかになってきました。
これらスケジュールは、項目によって異なります。
1は2019年の前半に施行され、2~5は2019年前半にパブコメを経て政省令が公布されます。6は2019年前半に薬事食品衛生審議会と食品安全委員会の審議を経て、2019年後半に省令が公布され、7は2019年前半にパブコメを経て政省令が公布され、その後や薬事食品衛生審議会と食品安全委員会の審議を経て2019年後半に省令が公布されます。いずれにしても2019年中に制度の詳細が明確になり、2020年以降の施行となります。
食品関連事業者は、新しい各政省令に基づいて適切に対応することが喫緊の課題となります。そのためには2019年に政省令の各項目の内容を知り、どのようにかかわりあっているか、まずは全体像について理解することが求められます。現在、政省令に関する検討会は3つあり、それぞれが現在進行形で進められており、食品品質プロフェッショナルの方々は最新情報を入手しておく必要があるでしょう。
また、今回の法改正によって食の安全レベルは向上し、消費者にメリットをもたらすことになるでしょう。消費者も法改正について知り、食品安全基本法の役割にもある「知識の習得や情報の収集により自主的・合理的に行動すること」が望ましいと考えます。 法改正に伴い食品関連事業者が食品安全の取組について消費者とどのようにコミュニケーションをしていくのか、考えていきたいと思います。
2019年1月10日 更新