飲食店、居酒屋、惣菜・弁当・仕出し、インストア加工、給食まで なんでもこいの飲食(RTE)HACCPセミナーを開催して

飲食店、居酒屋、惣菜・弁当・仕出し、インストア加工、給食まで なんでもこいの飲食(RTE)HACCPセミナーを開催して

(一社)食品品質プロフェッショナルズ 代表理事 広田鉄磨

飲食(RTE)HACCPセミナーの初日である2020年11月14日分を開催しました。 場所は淀屋橋の株式会社 実身美(サンミ) 本社会議室 もうおなじみになった会場です。

午前中を HACCPに充て 実効性を重んじる 食品品質プロフェッショナルズ流のHACCPをしかと伝授、午後からは HACCPの考え方を感染症対策にも延伸し 今 飲食業を中心として 何をすればいいのか どこまでやればいいのか 悩みの尽きない方々に これこそはの「秘策」を授けました。

まずは午前の部の「飲食(RTE)HACCP」

手引書と現実のギャップ

皆様おなじみの日本食品衛生協会作の手引書にも やはり現場をよく知らないで作ったんじゃないかと思われる点が多々あります。とくに 飲食事業には余分な人などいない その運営はギリギリの人数でやられている という視点が全く抜け落ちています。

網羅的なPRPの 聞こえはいいのですが だれがいつやれるというのでしょう。 また 本来であれば是正処置といわれるものは ヒト、モノ(原材料、中間製品、最終製品)、ライン(器具、機器)のどこに真の原因が潜んでいるかを見極め そこに対策を集中しないといけないのに 表層的な 従業員という 「ヒトへの注意喚起」程度でお茶を濁している点が目につきます。

事故事例を参考に管理ポイントの優先順位をつける

それに対して 食品品質プロフェッショナルズでは まず その業種、取り扱い品目につきものの事件はないのか それをグーグルなどで洗い出します。その業種でよく起きている事件 特にその症状が重篤なものであるなら そこにこそまず精力を傾注すべきではないか という意見を前面に打ち立てるわけです。そこが 最初から網羅的なPRPをもって始まるほかの団体とは一線を画するところです。

下準備をしてからPRPの検討に取りかかる

重大な事件を 原材料から中間製品、中間製品から最終製品へとつながるフロー つまり調理工程の中で抑止できる目途をつけたなら 次いでやっと必要なPRP(衛生管理計画)を検討し始めることになります。

衛生管理計画は 重大事件の防止策と相矛盾するものであってはなりませんし それどころか 重大事件の発生防止を側面からサポートしうるものでなければなりません。つまり縁の下の力持ちといっていいでしょう。

さらに 重大ではないまでも 起こってほしくはないような軽微な事件の防止にまで 目線を伸ばしていき つまるところ重大事件防止を本丸に据えた 多重防御態勢を持つ堅固な城郭が構築されていくことになっていきます。

動画:荒木講師熱弁の風景

午後の部は「感染症対策」

HACCPの考え方は 危害要因分析重要管理点方式という和訳の示す通り あらゆる危害に延伸していけます。コロナ肺炎も例外ではなく あれもやりたい これもやってほしい という風に PRPを前面に打ち立てた形式で思考を進めていくと 効果が怪しいものまで なんでもかんでも並べ立ててしまうこととなり 費用対効果の面からも そして (本当にそこまでやれるの?と怪しまれるような)実現性に疑問が付くような対策までが お雛祭りのひな壇のように並んでしまうのです。

飲食店に於ける新型コロナ対策の現状

事実 厚生労働省が動画で強調しているような徹底した手洗いを客がやっているような店は一軒もみたことがありません。乾燥した布きんをアルコールを浸して と説明されるメニューやテーブルや椅子、よく手が触れる把手までの消毒も 完全に実行している店は皆無といっていいでしょう。布きんで拭くにしても それは汚れ取りの効果のほうを優先しているため 濡れた布きんが通常です。

新型コロナの最大の対策は換気

原点に戻りましょう!何よりも大事なのは 換気なのです。手指を介しての汚染は 飛沫による汚染に比べたら極端に小さなものです。空中に浮遊している飛沫を何とかせず 枝葉末節のところでどんなに努力しても 効果は知れたものです。飛沫を排除するには 大きくいって二つしか方法がありません。まずは換気 それに限界がある場合には ついで空気の濾過です。

感染症病棟での換気回数

感染症病棟での換気回数は 一時間当たり12回が必要といわれます。感染症病棟での換気による実際の抑止効果は 医療現場での感染事故が多発していますので 何とも言えないのですが 感染症病棟並みの換気率を実現している 新幹線や高速バス、感染症並みの換気が達成されているかどうかの数値化は非常に難しいけれど 窓を小さく開けている地下鉄でさえ クラスターが発生していないという事実は 換気がいかにパワフルな抑止手段であるかを証明しています。

冬場の換気はどうする?

しかし これから冬を迎えて 飲食業界では 換気率を高く保つにはつらい状況が出てくるでしょう。私は 今年の冬は 窓を開けっぱなしにした部屋に灯油ストーブでも持ち込んで(薪ストーブでも石炭ストーブでも結構) 客にはその周りに座ってもらい暖をとる 大晦日のお寺で焚き火にあたりながら除夜の鐘をきくような塩梅で 風情があっていいじゃないですかなどと冗談いってますが それでもやはり忍耐には限界があるでしょう。

新型コロナの補助的対策としてフィルターを通すことも効果的

換気率の向上がままならぬ場所では 暖房で使っているエアコンの吸い込み口に 中性能フィルターを噛ませるだけで ずいぶんの飛沫の濾過ができるんですよ と申し上げています。

望ましくは HEPAフィルターなのですが 通常仕様のエアコンで HEPAの圧損に耐えられる機種はありません。完全ろ過ではなく 部分濾過 それでも 私の実験では 最低でも3割以上の飛沫阻止効果を上げえます。中性能フィルターであれば エアコンの動作を妨げることはまったくありませんし エアコンは 弱運転であったとしても 一時間あたり部屋の容量の20倍くらいの空気を吸引・吐出しますので そこにフィルターを噛ませたら十分に6回相当以上の換気となるわけです。

受講者の感想

ぐだぐだと後書きを書くよりも 参加者の感想文がすべてを簡潔に語っていますので それを引用します。

衛生指導担当 50代女性

貴社の講習は 毎度たくさんの文献や論文、事例の紹介があり 自身の幅が広がっていく感じがします。

今回は大阪府でも重要視されている 食中毒事件の減少が浅瀬に乗り上げてしまっているカンピロバクターを対象としたHACCPプランのお話で 私どもが ギランバレー症候群の話をしようにも なかなか視覚に訴えられる題材はなく苦労していたところ 今回 ギランバレー症候群を患った女性の動画を見ることができ 興味深かったです。

お客様の中でも ガイドラインに縛られ ソーシャルディスタンスなどの(費用対効果の低い)投資に頭を悩ませられていますが 換気である程度の抑え込みが可能であることを知り、マスクの品薄、アルコール消毒液の買いあさりなど 一消費者としても踊らされることなく 第三波に対応したいと思います。

衛生検査担当 50代女性

午前中の衛生管理計画では いよいよHACCPの制度化のなかで やらなくてはいけないポイントを再度確認することができました。

セミナーは何度か受講していますが 自社が受け持っている飲食店では まだまだ取り組みができていない ないしは どう取り組んでいったらいいのかがわからない というところも多いので まず 何から取り組んでいくべきかを指導できるよう 私自身も色々な想定のもと 学んでいきたいと思います。

後半のコロナ対策ですが テレビのニュースなどで 飛沫の具合の実験なども見ていたりもしていましたが 実際面ではおかしいな と思う対策も多く 今回 疑問だったところが晴れていくようで おもしろく聴くことができました。

「換気が重要」という事はわかっているのですが やはり寒い季節となり どうなることかと心配でしたが 室内の換気を重視することで そこまでの効果が上がるのであれば みんなをまきこんで換気だけは進めたいと思います(お金もあまりかからないので)。

百貨店 惣菜販売 担当経験者 30代女性

HACCPでもコロナ対策でも 何が一番重要かをしっかり押さえることが大切なのだと 今回の研修で理解できました。漠然と あれもこれもやればいいというわけではなく 無駄なことはやらない。スマートに考える。その重要性がわかりました。ただ それを的確に行うためには 土台となる知識が必要なので 様々な観点からの知識を得なければならないと思いました。

HACCPもコロナ対策もほとんどわかっていなかったのですが 今回の研修はとても分かりやすく 理解できました。換気など 簡単に行えることなので 自分でも実践し 周囲にも正しい知識を伝えていこうと思います。ありがとうございました。


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