2019年11月23日に東京で開催された日本リスク学会で、一般社団法人 食品品質プロフェッショナルズ代表理事の広田鉄磨が発表した論文です。
「日本のHACCPの中に組み込まれたバイアス」
はじめに
1995 年に 厚生労働省が「総合衛生管理製造過程の承認制度」の中にHACCP を導入。1998 年に厚生労働省、農林水産省が食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法を公、2013 年HACCP 支援法が2023 年までに延長されたという経緯をもつ日本のHACCP ではあるが、政府の肝いりに比べて 民間でのHACCP の伸展・定着は遅々としており いまだに大企業以外では一般的なものとはなっていない。
その背景には 中小零細事業者の間に HACCP というものは 「大変だ・難しい・金がかかる」というネガティブなの印象が刻み込まれたことが原因ではないかと推察される。筆者は 別途 HACCP 研修を運営しているが そこでの受講者から吐露される心情というものは ほとんどの場合 「大変だ・難しい・金がかかる」に該当するものであって 制度化という圧力なしにはHACCP 展開はやりたくなかったと正直な告白を聴くにつけ この推察は かなり核心をついたものであると感じている。
すでに埋め込まれたHACCP は「大変だ・難しい・金がかかる」というネガティブな印象が 二時間程度の講義でのインプットをもってして修正可能なのかどうか 2019 年9 月24 日 徳島県消費者大学校の 食品安全リスクコミュニケーター養成・食品表示コース HACCP 受講者35 名を対象として 講義前後にアンケートを実施し 結果を計測してみることで 今後のHACCP 伸展に向けてのコミュニケーション手法の参考としたい。