ビジネスホテルでの朝食バイキングに関してのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手順書 後編【食品と科学】

ビジネスホテルでの朝食バイキングに関してのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手順書 後編【食品と科学】

代表理事の広田鉄磨が執筆した記事が、食品と科学 2019年11月号に掲載されました。月刊 食品と科学様の許可を得て、公開しております。

前編はこちらから。

冒頭紹介

主な危害要因への対応:物理的・化学的危害要因

物理的危害要因

物理的危害要因については、例えば包丁の刃の欠けたものが食材に入り込んでいたであるとか、魚の骨が残っていて口の中を傷つけたであるとか、様々なものがありますがどれも散発的な事件であり、かつビジネスホテルの朝食バイキング提供という場面で取り立てて注意喚起しないといけないものはないので省略します。毛髪・虫などの混入はありえますが、毛髪・虫などは危害要因というより(健康危害という実害はなくあくまで)不快要因なので、どこまで対応するかは事業者の方針次第といえましょう。

化学的危害要因

飲食業では、次亜塩素酸ソーダ液をまちがって客に飲ませてしまったであるとか、消毒用のアルコールで酎ハイを作って出したであるとか、枚挙の暇はありませんが、ビジネスホテルでの朝食バイキングではかなり縁遠いものです。薬剤を本来の容器から食品用の容器に分注しておく、あるいは冷水・湯茶のストッカー内面のカルシウム沈着や茶渋除去のため薬剤を入れっぱなしにしておくなど、取り違えやすい状況を作り出さなければまずは起きえない事件といって良いでしょう。

アレルギーを持つ人の割合が増えている現在、化学的危害要因としてはやはりアレルゲンが重要です。しかし、朝食バイキングの場では利用客がとりわけ器具をとり間違える・戻し間違えることは往々にしてあります。陳列の場での交差汚染が避けられないため、食材ごとのアレルゲン表記にはあまり意味がないということになります。やるとすれば陳列している食材すべてに含まれているアレルゲンの一覧表を前面に置き、陳列の場で交差している可能性のあるアレルゲンへの注意喚起を行います。個々の食材についてはその中に歴然として含まれているアレルゲンつまり原材料として含まれているアレルゲンを明記するという2段構えの対応になります。

深刻なアレルギー患者の場合、交差汚染程度でもアナフィラキシーショックに至る可能性があるので、陳列されている食材全部に関してのアレルゲン一覧表が必要のなるのに対して、緩やかなアレルギーしかもっていない客(アレルギー発症までの閾値の高い人、あるいは発症したとしてもその症状が深刻ではない人)に対しては、交差汚染程度は問題ではなく、食材の中に明白な量で含まれているアレルゲンのみが問題であるという程度の差があるからです。

アレルゲンについては外国と日本の間に定義の差があることがあります。よく知られているものとしては、西洋諸国では木になるナッツ類は一括してアレルゲンです。もし日本人以外の客が朝食会場に現れて「自分はアレルギーを持っている」と明言するのであればいったい何に対してアレルギーなのかを問いただし、さらにどの程度の量で発送しかねないのかなどを聞き出し、レシピの中の該当アレルゲンの量をおおよそ示しかつトングの戻し間違いなどで他の食材にも該当アレルゲンが移行している可能性のあることを説明しなければなりません。

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